長崎地区における水産ねり製品加工業の分析

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タイトル別名
  • Analysis of the Fish Paste Processing Industry in the Nagasaki District
  • 長崎地区における水産ねり製品加工業の分析--地産地消型システムの構造とその変化
  • ナガサキ チク ニ オケル スイサンネリ セイヒン カコウギョウ ノ ブンセキ チサン チショウ ガタ システム ノ コウゾウ ト ソノ ヘンカ
  • Focused on the System for the Local Consumption of Locally Produced Products and its Structural Exchange
  • 地産地消型システムの構造とその変化

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抄録

<p>本論の目的は,長崎地区水産ねり製品加工業における地産地消型システムの構造とその変化を明らかにすることである。ねり製品加工業におけるグローバル化は,すり身の需給が逼迫するとねり製品の小規模産地・加工業者へしわ寄せが集中し,地域性が消失することに繋がる。一方,こうしたグローバル化の負の側面に対し,地産地消型のねり製品加工が注目され,長崎地区はその典型である。長崎地区のねり製品加工業の特徴として,小規模経営が多いにも拘わらず,生産量や経営体の減少傾向は穏やかであり,また,赤身魚を使用した「黒ぼこ」製品が定着し,ねり製品の世帯あたり消費量が多いが,これらの特徴は地産地消型システムに支えられたものと言っても過言ではない。</p><p>長崎蒲鉾水産加工協では,組合の加工場で生産したすり身や輸入すり身を組合員に供給している。従来,組合のすり身生産は東シナ海の以西底物を主体としてきたが,これらの水揚げの減少により,赤身魚利用への動きを強め,研究開発を進めてきた。1980年代におけるまき網のイワシやアジの利用開発がそれである。地元長崎では,価格が安く,独特の風味をもっているこれら原料変化に順応している。このように,地元赤身魚すり身は国内外のトロールによる白身魚すり身に比較して,高い競争力を持っている。その結果,組合地区の小規模業者も生き残ったのである。</p><p>しかしながら,1980年代後半,長崎地区の比較的有力な企業は,揚げかまぼこ製品を中心に量産化をはじめ,その市場圏を県外,九州外へと拡大している。そして,業者間の経営規模格も拡大している。長崎地区におけるこの構造変化は,赤身魚原料の不足や新規消費者に赤身魚製品の魅力を広めることなどの課題をもたらしている。</p><p>このため,組合や業界では行政と協力しながら,低・未利用魚の利用開発,ねり製品のブランド化や魚食普及の推進に努めている。</p>

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