変容する鯨類資源の利用実態

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タイトル別名
  • Changes in the Uses of Whale Resources Over Time
  • 変容する鯨類資源の利用実態--沖縄県名護ヒートゥ漁を中心として
  • ヘンヨウ スル ゲイルイ シゲン ノ リヨウ ジッタイ オキナワケン ナゴ ヒートゥ リョウ オ チュウシン ト シテ
  • An Example Using the Hand-harpoon Fishery of Nago, Okinawa Prefecture, Japan
  • 沖縄県名護ヒートゥ漁を中心として

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抄録

<p>本研究は,沖縄県名護における鯨類資源と地域との係わりについて分析し,変容する鯨類資源の利用実態とその役割を浮き彫りにすることを目的としている。第一に,名護の突きん棒漁業の生産と流通構造を明らかにした。商業捕鯨モラトリアム以降,捕獲された鯨類のうちゴンドウクジラ類は地元ではなく福岡市場に販売されている。全国的に,生鮮鯨肉のうちゴンドウクジラ類を取り扱うのは福岡市場に限られており,沖縄産,鮎川産,太地産が福岡市場に集中し,生鮮鯨肉間,さらに生鮮鯨肉と冷凍鯨肉の間に品質・価格競争を引き起こしている。福岡市場での地域ブランド形成が今後の課題となる。第二に,地元名護に供給される鯨肉生産物の消費実態をあきらかにするため,地域住民を対象に鯨肉食に対するアンケート調査を実施した。慢性的な供給不足と高値設定のために,消費者のヒートゥ肉ばなれが進行していた。しかし,ヒートゥ肉の食習慣が維持・継承されており,供給量の増加と価格低下を要望する消費者の声が目立った。第三に,地域社会においてヒートゥ漁や鯨類資源がもつ多面的機能について検討した。漁業生産活動による食料供給以外に,社会文化的な役割を果たしている。ヒートゥ漁存続のためには,地元消費や地域社会と結びついた存在意義の見直しが必要である。なお,本研究を進めるにあたり,仙台,築地,横浜,名古屋,大阪,広島,福岡,大分の8中央卸売市場における鯨肉取扱について調査しその取扱状況を類型的に把握した。</p>

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