MEFV遺伝子関連腸炎小腸病変の検討

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抄録

<p>【目的】MEFV遺伝子関連腸炎例の臨床背景、小腸病変を主体とした消化管病変を検討し、鑑別診断に寄与する。</p><p>【方法】2020年7月までに札幌医科大学でMEFV遺伝子解析を行った当科28例のうち、遺伝子変異を認めた15例を対象として検討した。</p><p>【結果】女性9例、発症時年齢40.4(19-71)歳、診断時年齢は49.1(30-76)歳で、確定診断まで9年要していた。症状等は、腹痛15例、下痢12例、血便10例、38℃以上周期的発熱10例、関節炎8例、頭痛6例、結節性紅斑3例、痔瘻2例、壊疽性膿皮症1例、皮膚限局性アミロイドーシス1例だった。初期診断は潰瘍性大腸炎疑い8例、分類不能腸炎4例、クローン病疑い3例で、変異はexon 2に9例、exon 3に4例、exon 1とexon 5に各1例認め、変異全体の72.7%がheterozygousだった。微小病変も含めると消化管病変は、食道4例、胃8例、十二指腸6例、空腸回腸10例、大腸11例と広範に分布しており、小腸を含む全消化管検索の必要性が示唆された。小腸病変は回腸主体の広範なびらんや潰瘍が多かったが、ノッチサインやmucosal break、縦走配列のびらん、らせん状病変、多発狭窄など多彩な所見を呈しており、典型例に合致しない所見や問診から本症が疑われていた。コルヒチン投与12例中11例が有効ないし寛解で、抗TNFα抗体製剤投与6例中5例で有効だったが、内視鏡的寛解に至っても関節炎等が残存する例があった。</p><p>【結論】MEFV遺伝子関連腸炎の消化管病変は小腸を含み広範に分布し、全消化管検査の施行が望ましい。炎症性腸疾患に類似するが典型例と異なる内容があり、精緻な画像診断と問診で本症の診断に導ける可能性が高くなると思われたが、抗TNFα抗体製剤が有効で本症が想起できない可能性がある。治療目標は消化管病変の寛解のみならず、腸管外合併症を含めた全身病変の寛解に設定すべきと思われた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390849376476230528
  • NII論文ID
    130007941261
  • DOI
    10.32264/shocho.4.0_51
  • ISSN
    24347019
    24342912
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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