口腔表在癌

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タイトル別名
  • Oral superficial carcinoma
  • —From the standpoint of oral surgeon—
  • —口腔外科医の立場から—

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抄録

舌のHigh-grade dysplasiaと筋層浸潤のない癌を舌における口腔表在癌と仮に定義した。このような病変は様々な炎症性や反応性病変との区別がときに困難である。病変を検知するための有用な手助けとなるのがヨード染色法である。病変検知の補助ツールとして狭帯域内視鏡装置,VELscope,Illumiscanなどが開発されてきた。VELscopeとIllumiscanは高感度ではあるが特異度が低い。切除された断端粘膜には高度異形成が残存してはならないが,深部マージンの幅については明確な基準は確立されていない。手術創の処理法は一次閉鎖されるか,植皮,あるいは人工物での被覆であるが,それらのいずれにも利点と欠点がある。術中の断端評価は迅速病理検査で行う。γ-glutamyltraspeptidaseを蛍光のトレーサーとして用いた新たな術中評価技法が開発され,今後の発展が期待される。上皮性異形成の程度は3段階に分けられてきたが,WHOにより2分類法が提唱された。しかしWHO,日本口腔腫瘍学会,日本頭頸部癌学会の3者の基準にはそれぞれに若干の違いがある。組織学的なDOIはAJCCの基準に基づいて引かれた水平線を元に測定するが,浸潤部に接して上皮性異形成領域,すなわち正常ではない領域が広く存在する場合には,測定値がマイナスとなってしまうことがある。このような不都合や基準の違いを修正して,口腔外科医,頭頸部外科医,そして病理医にとってより良い共通の規約の確立が望まれる。

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