P-1-B05 呑気による腸管拡張からイレウスを反復した重度知的障害者の4症例
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はじめに 重症心身障害児(者)施設における重度知的障害者には呑気をする利用者が多い。私たちは呑気による腸管拡張からイレウスを反復した4症例を経験したので報告する。 症例1 61歳 男性 大島分類10呑気が多く嘔吐を繰り返すため外科受診し、胃瘻造設・噴門形成術を行った。退院した日の夕方腹部膨満と頻脈を認め、転院14時間後に死亡した。病理解剖の結果、死因は横行結腸の捻転による腸管壊死であった。 症例2 62歳 男性 大島分類2嘔吐のため禁食とし補液を行ったが、全身状態が悪化し外科受診したところ、結腸捻転の疑いがあり内視鏡で脱気した。帰院後すぐに再発し、横行結腸捻転の診断で結腸亜全摘術を行った。術後は再発なく安定している。 症例3 49歳 男性 大島分類11慢性心不全を合併しており、呑気による腹部膨満の悪化とともに顔色不良、呼吸不全など循環状態も悪化した。循環器科より、心不全の悪化は腹部膨満のためと指摘され、その後はブジーで対応した。ブジーで脱気できず、外科受診し大腸ファイバーでの脱気を行うこともあった。全身状態悪化し外科に緊急搬送し、人工肛門を造設した。術後安定し退院の準備をしていたが、感染のため死亡した。 症例3 53歳 男性 大島分類4呑気による腹部膨満のため嘔吐を繰り返し、禁食・補液で軽快していたが、胆汁性嘔吐を伴いイレウス管挿入を要することが多くなった。外科より胃瘻造設しそこから脱気する方法を提案されたが、1日1回胃管から脱気をすることで、症状の再燃なく過ごせている。 考察 重度知的障害者では呑気による腸管の拡張、過長、蠕動運動の低下によるイレウスを引き起こすことがある。外科的処置に踏み切るタイミング、外科との連携が重要である。何よりも、状態に変化があったときは、結腸捻転の可能性を念頭に置いた、的確で素早い対応が必要と考える。
Journal
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- Japanese Journal of Severe Motor and Intellectual Disabilities
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Japanese Journal of Severe Motor and Intellectual Disabilities 43 (2), 330-330, 2018
Japanese Society on Severe Motor and Intellectual Disabilities
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390849931331139840
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- NII Article ID
- 130007973110
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- ISSN
- 24337307
- 13431439
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Allowed