P-1-A22 強度行動障害を有する重度知的障害の自閉症患者に小集団活動を導入して

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はじめに 強度行動障害を有する患者の多くは、自閉症と重度知的障害を合併し、激しい不安や興奮、自傷、他害など行動上の問題が強く、頻繁に日常生活に出現する。そのため処遇困難となりやすく、集団生活に混乱を招くとされている。当院でも行動上の問題が強く、集団生活に混乱を来し余儀なく個室隔離となる患者がいる。先行研究では、パラレルな場を利用した作業活動を行ったことで周囲との自然な場が広がったとの報告がある。このことから集団適応に向けての第一段階として、小集団での活動を日課に取り入れ、小集団活動前後の問題行動項目ごとの実態を調査した。 研究方法 対象は行動上の問題により個室隔離している、強度行動障害を有する重度知的障害に加え自閉症の患者5名、小集団活動は30分〜60分、患者一人に対してスタッフ一名が付き添いパーテーションで仕切った空間で実施する。強制はせずに患者がやりたいことを中心に行う。集団生活を行うために問題となる4項目衝動行為、自傷、器物破損、不潔行為について小集団活動開始前後3か月の問題行動回数の中央値と項目ごとの問題行動回数の中央値を、ステューデントt検定を用い検定した。 結果・考察 小集団活動前後3か月の問題行動回数の中央値の比較ではp<0.033となり有意差がみられ問題行動が減少する傾向がみられた。項目ごとの中央値の比較ではすべてに有意差を認めた。自閉症の人たちは場の読み取りや先の見通しを立てることが苦手とされている。小集団活動の場は他者がいる場ではあるが過剰な気遣いをすることもなく、自分たちがやりたいことを活動する場であったことと、課題や制約がなく思い通りにできることで物事の流れを視覚的に理解することができ見通しを持てたことが問題行動減少につながったと考える。 結論 小集団活動は、集団適応に向けての第一段階として有用であることが示唆された。

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