循環型緑地管理における植物発生材マルチの活用

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タイトル別名
  • Utilization of plant-derived chips and clippings in sustainable urban landscape management
  • ジュンカンガタ リョクチ カンリ ニ オケル ショクブツ ハッセイザイ マルチ ノ カツヨウ

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抄録

私たちの生活空間を潤す緑地は,その維持管理作業から毎年大量の剪定枝や刈草といった 植物発生材を‘みどりの廃棄物’として系外へ排出し続けている.本来,これらは,土壌に還元することによって表土形成を担う重要な機能を有しているが,これを無下にしている現状は低炭素社会へ向けての行動に逆行する.本稿では,炭素循環・環境保全の側面で持続可能な緑地管理技術として,植物発生材を系内でマルチ資材として活用することを提案する.まずは,木本から草本に及ぶ16種類の植物発生材マルチの雑草制御効果を評価し,その効果には遮光・被圧の影響のほかに資材から溶脱する生理的要因があることを見出した.次に植物発生材マルチが地温,土壌水分含量,土壌硬度に及ぼす影響を明確にし,土壌固化を防ぐ機能を認めた.そして有機物の還元について把握し,表土からの有機物の流亡や分解の抑制に寄与していることを確認した.これらの結果に基づき,実際のマルチ資材としての活用を視野に入れた指針ならびに他の事例から導いた留意点を説明した.さらに,植物発生材マルチを15年間活用している集合住宅の事例とその実情を紹介した.本稿の趣旨が緑地に関わる住民,事業者,行政者に共感,実践されることを期待する.

収録刊行物

  • 草と緑

    草と緑 12 (0), 27-36, 2020

    特定非営利活動法人 緑地雑草科学研究所

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