国際栄養指標に基づく日本の母子栄養状態の推移

  • 新杉 知沙
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所栄養疫学・食育研究部 東京医科歯科大学国際健康推進医学分野
  • 黒谷 佳代
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所栄養疫学・食育研究部 昭和女子大学生活科学部
  • 三好 美紀
    青森県立保健大学健康科学部
  • 瀧本 秀美
    国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所栄養疫学・食育研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Trends in Maternal and Child Malnutrition Indicators in Japan

この論文をさがす

抄録

<p>【目的】 国際的な栄養指標に基づき,日本の母子栄養状態の状況と経年変化を記述することを目的とした。</p><p>【方法】 世界保健機関が定めた国際的な栄養モニタリングの枠組みで設定された20の指標のうち,人口動態調査と国民健康・栄養調査の公開データにより入手可能な指標(低出生体重(1951~2018年),学童期の痩せと過体重(2006~2017年),思春期の痩せと過体重(1975~2017年),女性の痩せと過体重(1980~2016年),女性の貧血(1997~2017年))の状況(割合)について年次推移を示した。さらに2015年におけるその他主要指標(完全母乳育児,乳幼児の発育阻害,消耗症,過体重)を整理した。</p><p>【結果】 低出生体重児の割合は1975年までは減少傾向にあったが(5.1%)その後増加に転じた(9.5%,2015年)。5歳未満児の発育阻害,消耗症の割合はそれぞれ7.1%,2.3%(2010年),過体重は13.4%(2015年)であった。学童期の肥満の割合は減少していた(5.5%,2015年)。思春期及び若年女性の痩せの割合は高く(それぞれ19.8%,22.3%,2015年)1980年以降増加していた。女性の過体重・肥満は1980年以降高い割合が続いていた(19.2%,2015年)。妊娠可能年齢の女性の貧血は1997年以降高い割合が続いていた(21.5%,2015年)。</p><p>【結論】 日本の母子栄養の状況は改善がみられるが,高い低出生体重児割合,高い思春期及び若年女性の低栄養(痩せや貧血)の割合の一方で中高年女性の過体重・肥満の割合が高い等課題もみられた。国内の指標に加えて,これら母子栄養の主要な指標を継続してモニタリング評価していくことは,さらなる栄養改善に役立つと考えられた。</p>

収録刊行物

  • 栄養学雑誌

    栄養学雑誌 78 (Supplement), S39-S49, 2020-12-01

    特定非営利活動法人 日本栄養改善学会

被引用文献 (2)*注記

もっと見る

参考文献 (25)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ