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- AIBA Yasuyuki
- 首都大学東京法科大学院
Bibliographic Information
- Other Title
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- 地球環境としての森林の保全(その1 )
- チキュウ カンキョウ ト シテ ノ シンリン ノ ホゼン(ソノ 1)
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<p>1 生物を保護する理由は,従来,生物の人間にとっての利用価値で説明されてきたが,国連の世界自然憲章や生物多様性条約により,生物自体に内在する価値を尊重することが,人間にとっての利用価値と併せて,保護の根拠とされるようになっている。</p><p>2 生物を保護するためには,地球の自然環境を保全しなければならない。 生物の保護の仕方について,生物多様性条約は,生物多様性を保全することだとしたが,生物多様性の保全とは,個々の生物を保護することではなく,生物の集合体である生態系を保護することである。そして,生態系を保護することは,生物を質と量の両面で保全することが必要であり,生物の宝庫である森林を保全することが最も重要である。 ところが,森林は,現在のペースで400年あまりで地球上から消滅するという危機的な事態にある。 しかし,1992年の国連環境開発会議は,森林を保全するための条約づくりに失敗し,その後4 半世紀にわたってその状態が放置されており,これを変えて森林を保全することについての世界のコンセンサスを作らねばならないのが今日の課題である。 生物多様性でホットスポットとされる熱帯雨林など豊かな自然を有する開発途上国における森林減少の人為的原因は,①森林の伐採権を業者に与えるコンセッションが政府の財政補てんのために過度に設定されること,②膨大な貧困層の存在による住居や農地などの土地需要などにあると言われるが,その解決基準は,世界自然憲章に示されており,その内容である,アセスメントを前提とした森林経営と森林の地目転換を各国に要求する条約を作る必要がある。</p><p>3 国連環境開発会議が,森林を保全するための条約づくりに失敗したのは, 先進国が,開発途上国の森林を利用し開発する行為に干渉するのは,森林を開発し尽くした先進国が開発途上国との経済格差を固定しようとする陰謀ないしはエゴイズムだと受け取められたからであるが,このような停滞原因を除去し,世界の森林の減少のスピードを落とすためには,日本や米国などをはじめとする先進国は,過去において森林を他の地目に転換した土地を,再度森林に戻す努力を行う必要がある。</p>
Journal
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- Water Science
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Water Science 63 (5), 28-62, 2019-12-01
Japan Forest Conservation Association
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390850092192061952
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- NII Article ID
- 130007990051
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- NII Book ID
- AN00125003
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- ISSN
- 24324671
- 00394858
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- NDL BIB ID
- 030151604
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- IRDB
- NDL
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
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