足底加温が静的・動的バランス能力に及ぼす効果

  • 中村 壽志
    湘南医療大学保健医療学部リハビリテーション学科理学療法学専攻 国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科保健医療学専攻リハビリテーション学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Planter Warming on Static/Dynamic Balance Ability
  • ソクテイカオン ガ セイテキ ・ ドウテキ バランス ノウリョク ニ オヨボス コウカ

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説明

<p>  【目的】足部に対する温熱療法は,柔軟性や立位バランス能力などの改善が報告されている.本研究の目的は,足底加温による静的・動的バランス能力の効果を検証し,足部皮膚温・感覚検査・足底柔軟性検査からその関与する要素を確認することである.</p><p>  【方法】健常成人30名を対象に,フットヒーターで足底を15分間加温した.加温・非加温中に深部体温(足背部第1~2中足骨頭間,足背部第4−5中足骨頭間)・足部皮膚温(右左中足骨頭外側),加温・非加温の前・後・10分後に足底皮膚温(第1・第5中足骨頭下・踵)・Y Balance Test(以下,YBT)・片脚立位重心動揺検査,前・後に触覚検査・振動覚検査・足底接地面積検査,母趾伸展可動域検査(以下,母趾伸展角度)を行った.また,温度以外の項目は変化率を算出した.反復測定分散分析を用いて測定値を,Wilcoxonの符号付順位検定で変化率を比較した.</p><p>  【結果】深部体温・足部皮膚温・足底皮膚温は,加温により有意な温度上昇を認めた.YBTは加温および非加温条件で前値と比較して後値・10分後値は有意に到達距離を伸ばした.母趾伸展角度は加温条件で前値と比較して後値は有意に角度が拡大した.片脚立位重心動揺検査・触覚検査・振動覚検査・足底接地面積検査に有意差を認めなかった.YBTと母趾伸展角度の変化率は,非加温条件に対して加温条件は有意に変化が大きかった.</p><p>  【考察・結語】足底を加温することで動的バランス能力の指標となるYBTを増大させる効果を確認できた.関与する要素として,足底皮膚温の上昇と母趾伸展角度の拡大を認めた.片脚立位重心動揺検査と感覚検査と足底接地面積検査に変化を認めず,関与する要素としては見いだせなかった.YBTの増大および母趾伸展角度の拡大から,足底を加温した後に動的な伸張刺激が加わることで足底柔軟性を向上させることが,バランス能力に寄与することが示唆された.</p>

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