人口減少社会における国内林業の将来見通し

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  • Projections of forestry in Japanese society with declining population
  • ジンコウ ゲンショウ シャカイ ニ オケル コクナイ リンギョウ ノ ショウライ ミトオシ

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人口減少社会における国内林業のあり方を検討することを目的に、木材の需要と供給、林業従事者数と所要労働力の将来推計を行った。林業従事者数はコーホート変化率法により、2030年に現状の7割、2050年に5割と推計された。国産材の潜在的需要は、自給率向上を仮定した製材合板等用材、およびパルプ・チップ用材、燃料材について想定し、2020年代は約3,400万m3と想定された。森林資源構成と林業関連統計を用いて、人工林齢級構成に基づく将来推計に必要なデータを算出した。育林作業の所要労働量は従来型と省力型を設定した。木材供給量と所要労働量を2020年代末まで推計したところ、伐採面積率と人工林齢級構成により計算される木材供給量は、国産材の潜在的需要に届かず、所要労働量は従事者数をやや上回った。木材供給量が需要を充たすよう人工林皆伐面積率を1.5倍に引き上げた場合、育林作業を省力化しても所要労働量は従事者数を1割弱上回った。労働力需給差の解消には、若年層参入率の引き上げによる従事者数増加策、または織り込み済みの素材生産性向上の一層の加速が必要と計算され、伐採材積に対する利用率の向上も有効と考えられた。これらの推計結果は、様々な仮定を積み上げて得られた結果であることに留意が必要である。所要労働量に占める育林作業の割合は長期的に増大するが、省力型育林に移行後も年1%の省力化が継続するなら、育林の所要労働量は現状並みに収まると見込まれた。

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