抜毛癖の子どもに対する養護教諭の関与

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タイトル別名
  • Retrospective Study on Supporting Yogo Teachers of Children with Trichotillomania
  • ヌケゲヘキ ノ コドモ ニ タイスル ヨウゴ キョウユ ノ カンヨ

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抄録

<p>【目的】本研究は,学校精神保健における抜毛癖の二次予防の観点から,抜毛癖の子どもに対する養護教諭の関与の実態を明らかにし,支援のあり方を検討することを目的とした。</p><p>【方法】東京都の小中高等学校を無作為抽出し,そこに勤務する養護教諭140名を対象に,郵送法にて自記式質問紙調査を行った。質問紙は抜毛癖の子どもの基本属性に加え,養護教諭の関与の契機,関与内容,関与後の抜毛状況の変化,及び子どもの情緒行動特性評価のための「教師用子どもの行動チェックリスト(CBCL : TRF)」で構成した。</p><p>【結果】調査の結果得られた68名の抜毛癖の子どもの属性は,男子21名女子46名(未記入1名),平均年齢は11.7歳であった。抜毛癖の子どもの約8割は,TRFで境界域あるいは臨床域に該当しており,同年代の子どもよりも情緒面,行動面で不安定な状態であった。また,抜毛癖の子どもの多くは,自分の抜毛行為やその結果生じた脱毛巣に対し気にしておらず,自ら相談行動をとらない傾向があったが,養護教諭は本人の訴えの有無に関わらず,本人へ積極的に直接的支援を行っていた。養護教諭の関与を通じて,7割以上の抜毛癖の子どもに改善が期待できる変化が認められており,その予測因子を探索した結果,担任及び保護者への関与順位が影響していた。</p><p>【考察】抜毛癖の子どもの早期発見には,養護教諭だけではなく全ての教職員の抜毛癖に対する問題意識の向上と気づきの視点を養うことが必要である。抜毛癖の子どもは深刻な問題行動を呈していることが多く,メンタルヘルスを中心とした専門的支援が必要となる可能性が高い。抜毛癖の改善には,担任を介した保護者との連携を積極的且つ迅速に行う必要があると考えられる。</p>

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