O-109 ミラーセラピーと運動療法によって足部のアロディニアが著減し、早期に歩行獲得できた下肢 CRPS1症例

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抄録

<p>【はじめに】骨折疑いによる固定後、複合性局所疼痛症候群(以下、CRPS)を発症、痛みにより歩行不能となった症例に対する理学療法を経験した。ミラーセラピーと運動療法によって、足部のアロディニアが著減し、早期に歩行を獲得できたので報告する。</p><p>【説明と同意】本症例には発表の趣旨を説明し、同意を得た。</p><p>【症例紹介】50歳代男性。電車内で左足を捻転し他院にて左足関節内果骨折の疑いでギプス固定された。受傷3週後、左下腿から足部の痛みと腫脹を認め、CRPS と診断、当院入院となった。</p><p>【初期評価】左下腿から内果にかけて、触刺激、足関節自動運動、足部への荷重で誘発される強いアロディニアがあった。このため、立位、歩行は不能だった。痛みの強さはVAS で80、疼痛生活障害尺度(PDAS)は45点だった。</p><p>【治療】理学療法は1回40分、全18回実施した。まず、患部から離れた左股、膝関節の自動運動を疼痛が誘発されない範囲で促した。次に、端座位で両下肢の間に90×150cmの姿見を患者から見て右側が鏡面になるように置き、右足の鏡像があたかも左足に見えるように調節、右足関節の自動運動を行ってもらった。疼痛軽減を確認後、ボア素材の布によるアロディニア領域の脱感作、左足関節の自動介助運動、左下肢への荷重練習、歩行練習を進めた。</p><p>【最終評価】アロディニアは著減し、荷重時の左足内果部痛のみとなった。独歩が可能、左足関節の自動運動も制限なく可能となった。疼痛評価は、VAS が20、PDAS が8点に改善した。</p><p>【考察】CRPS の病態には、運動指令に対する適切な感覚フィードバックが得られないことが関与している可能性がある。まず、ミラーセラピーによる視覚的フィードバックによって疼痛緩和が図れたと考える。その上で、ボア素材による皮膚感覚、自動運動による深部感覚フィードバックが可能となり、破綻していた知覚運動ループの正常化が促されたと考える。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390850313412797568
  • NII論文ID
    130007997298
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.35.0_109
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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