O-061 くも膜下出血発症後に続発性正常圧水頭症を併発し,シャント術後の機能回復に影響を及ぼす 因子の検討

  • 米田若奈
    社会医療法人社団 森山医会 森山記念病院 リハビリテーション科
  • 高木優太
    社会医療法人社団 森山医会 森山記念病院 リハビリテーション科
  • 遠藤敦
    社会医療法人社団 森山医会森山リハビリテーション病院 リハビリテーション科
  • 小沼亮
    学校法人福岡保健学院 八千代リハビリテーション学院

この論文をさがす

説明

<p>【目的】くも膜下出血発症後の続発性正常圧水頭症(以下sNPH)では,一般的にシャント術の有効性は高いとされて</p><p>いる.臨床ではシャント術を施行し回復するまでには個人差があり,早期より予後を予見する事に苦慮する事もある.今回我々はシャント術後の機能回復に影響を及ぼし得る因子を挙げ,検討を行い,理学療法の一助となる事を目的とした.</p><p>【方法】対象は2013 年4 月から2015 年12 月までにくも膜下出血後,sNPH によりシャント術(V-P シャント,L-P シャ</p><p>ント)を施行した22 名(65.6±10.6 歳)女性12 名,男性10 名を対象とした.方法はシャント術前後でJapan Coma Scale,長谷川式簡易知能評価スケール,歩行能力で何れか一つの改善を2 週間以内に認められたものを早期改善群,2 週間以降の改善を遅延改善群の2 群に分けた.検討因子は年齢,sNPH の診断日から手術日までの日数,入院時のBMI 値,術前のAlb 値・血圧とし,術後の回復過程の影響を検討した.統計学的処理はMann-Whitney 検定を用い,有意水準は5%未満とし,統計ソフトはStatcel3 を使用した.今回の研究は個人情報の取り扱いに十分配慮し当院の倫理規約に沿って行った.</p><p>【結果】BMI 値は早期改善群(13 名) で20.8±2.1kg/m2 ,遅延改善群(9 名) で</p><p>25.2±4.1kg/m2となり有意差が認められた(p<0.05).年齢,sNPH の診断日から手術日までの日数,Alb 値,血圧については有意差が認められなかった.</p><p>【考察】今回,シャント術後の回復過程に影響する因子について後方視的に検討した.文献では脳室拡大の期間,肥満,血圧異常,低栄養が機能回復に影響する可能性があると報告されている.有意差を認めたBMI 値において,肥満傾向では腹腔内圧が上昇しシャント流量不足を引き起こす可能性がある為,機能回復に影響を及ぼす事が示唆された.今回BMI 値が一因子となったが,今後は更に症例数を重ね,影響因子を再考する事で急性期より重要とされる予後予測まで望めるのではないかと考える.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390850313412834048
  • NII論文ID
    130007997581
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.35.0_61
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ