P-015 パーキンソン病患者の無動・固縮・振戦が基本動作能力に及ぼす影響について

Description

<p>【目的】パーキンソン病(以下PD)患者の運動症状として無動、固縮、振戦、姿勢反射障害が知られており、臨床の場面ではそれらによって基本動作やADL を困難としていることがある。しかし、姿勢反射障害やバランスについて注目される一方で、無動、固縮、振戦の症状が動作にどのような影響を及ぼすのかは本邦では散見しうる限り報告されていない。今回は姿勢反射障害以外の運動症状が基本動作に与える影響や傾向を明らかにすることを目的とし、検討を行った。</p><p>【方法】2013 年1 月から2016 年3 月に当科に依頼のあったPD 患者のうち、評価が可能であった62 名を対象とし、後方視的に検討を行った。初回介入時の運動症状の有無と寝返り、起き上がり、立ち上がり動作のAbility for Basic</p><p>Movement Scale(以下ABMS)、Hohen and Yahr の重症度分類(以下H&Y stage)の評価結果から、従属変数を動作の自立度、説明変数を無動、固縮、振戦の有無とし、ロジスティック回帰分析を用いて解析を行った。本研究はヘルシンキ宣言に則っている。</p><p>【結果】PD 患者62 例のH&Y stage の内訳は、stage1 は17 例、stage2 は11 例、stage3 が19 例、stage4 が10 例、stage5 は5 例であった。ロジスティック回帰分析の結果、寝返り、起き上がり動作で無動が説明変数として選択された</p><p>(p=0.21、オッズ比0.074)。立ち上がり動作は無動、固縮、振戦の全てが選択されなかった。</p><p>【考察】PD 患者の寝返り動作は体幹回旋を伴うことが少なく、体幹を一塊に回転させるために運動開始の動作が重要である。無動によって運動開始が遅延すること考えられ、介助を要すると考える。また、起き上がり動作については、いくつかの運動の切り替えを要求されるため、無動が生じることで動作が困難となると推察する。立ち上がり動作は座位から支持基底面の狭い立位へ姿勢を変換する動作であり、無動や固縮、振戦よりも姿勢反射障害の要素によって自立度が変化するのではないかと考えた。</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390850313415931520
  • NII Article ID
    130007997471
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.35.0_199
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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