O-079 変形性膝関節症により下腿外側部痛を呈した一症例
抄録
<p>【はじめに】本症例は変形性膝関節症により,立脚中期(MSt)に踵骨と下腿が一体となって外側傾斜するLateral Thrust(LT)を認め,左下腿外側部痛を訴えた.ST 関節の回内運動を促した結果,LT 軽減および疼痛軽減を認めたため報告する.</p><p>【症例】70 代女性.平成27 年に両変形性膝関節症と診断.</p><p>【説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき,目的および方法を説明し同意を得た.</p><p>【評価】疼痛:左下腿外側(NRS:5).長腓骨筋(FL)に圧痛を認めた.ROM(右/左):膝関節伸展(0°/0°).足関節背屈:(20°/10°).MMT(右/左):大腿四頭筋(5/5).片脚立位(右/左):踵骨外側傾斜角度(FHA)(2°/13°),Leg heel angle(LHA)(7°/0°),舟状骨沈降度(NDT)(9mm/1mm),第一列底屈角度(8°/13°).歩行(左MSt):膝関節内反角度14°,下腿外側傾斜角度13°,FHA13°.</p><p>【仮説】本症例は,舟状骨が下制しないことや第一列底屈角度が大きいこと,LHA が0°であることからST 関節の回内運動は乏しいと思われる.踵骨と下腿が一体となって外側傾斜するLT を呈し,FL の回内作用にて制動していたことで,歩行時にFL に疼痛を認めたと考える.</p><p>【治療】1.FL リリース 2.足部モビライゼーション【結果】疼痛:左下腿外側(NRS:1).片脚立位(右/左):FHA</p><p>(2°/6°),LHA(7°/4°),NDT(9mm/5mm),第一列底屈角度(8°/10°).歩行(左MSt):膝関節内反角度</p><p>8°,下腿外側傾斜角度8°, FHA4°.</p><p>【考察】介入後,舟状骨の下制,第一列底屈角度の減少を認め,LHA が増加したことからST 関節回内運動が出現したと思われる.ST 関節回内は,踵骨が外転による外方へ転位し,相対的に距骨が内方へ転位する.踵骨が内側傾斜する傾向にあり,距骨は踵骨上を前内下方へ滑る.これらの運動により,下腿外側傾斜角度が減少し,FL の活動が軽減したと考えられる.結果としてLT 軽減および左下腿外側部痛の軽減を認めたと思われる.</p>
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 35 (0), 79-, 2016
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390850313415949184
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- NII論文ID
- 130007997609
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可