日本と朝鮮半島の巨樹

書誌事項

タイトル別名
  • Giant trees of Japan and the Korean Peninsula
  • 日本と朝鮮半島の巨樹 : 樹種および巨樹にまつわる伝承の比較
  • ニホン ト チョウセン ハントウ ノ キョジュ : ジュシュ オヨビ キョジュ ニ マツワル デンショウ ノ ヒカク
  • comparison of species and folklore
  • 樹種および巨樹にまつわる伝承の比較

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説明

明治時代末の天然記念物保護の機運の高まり受け,大正2 年(1913)に刊行された『大日本老樹名木誌』は,各地の著名な樹1500 本について,所在地,地上五尺の幹周囲,樹高,樹齢,伝説が記されており,日本の巨樹研究において極めて重要な資料である。また,その6 年後の大正8 年(1919)には朝鮮総督府から『朝鮮巨樹老樹名木誌』が刊行され,朝鮮半島の3168 本の樹について同様のデータが記されている。本研究は,この二つの資料を基に,記載されている樹種や樹の所有者(所在地),伝承を整理し比較した。樹種でいえば,掲載本数の多い順に『大日本老樹名木誌』ではマツ,スギ,クスノキ,ケヤキ,サクラ,イチョウと続き,『朝鮮巨樹老樹名木誌』ではケヤキ,エノキ・ムクエノキ,イチョウ,チョウセンアカマツ(アカマツのこと),ヤチダモ,エンジュと続く。樹の所有は日本では,神社や寺院に植えられている割合が高い。一方,朝鮮半島では公有地,地域共同体である「里」や「洞」が圧倒的に多い。これは,地域で樹を祭る習慣があるためである。樹にまつわる伝承をその内容に基づいて分類した結果,樹種による違いが明確に表れた。それぞれの樹種が有する形態的,生理的特徴に起因すると考えられるものも多い。また,日本と朝鮮半島を比較すると,共通点もみられるが,むしろ異なる部分が目立ち,歴史,宗教,文化の違いが反映されている。

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