腸管ベーチェット病とクローン病の鑑別点:診断困難例 からの考察

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  • Differential diagnosis between intestinal Behçet’s disease and Crohn’s disease:Discussion from a case difficult to distinguish between them

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抄録

腸管ベーチェット病とクローン病は,腸管の潰瘍病変,口腔内アフタ,結節性紅斑,関節炎な ど類似の症状を呈する.両疾患の鑑別が困難であった症例を経験し,両者の鑑別点を考察した. 症例は13歳女子で,発熱,下痢,口内炎,下肢の紅斑,膝関節腫脹で発症した.内視鏡検査で小腸, 大腸に円形,不整型潰瘍を多数認め,病理所見は非特異的な炎症細胞浸潤であった.HLA-B51陽 性であり腸管ベーチェット病と診断された.プレドニゾロン(PSL)投与で症状は消失したが再燃し た.再燃時に小腸,大腸に縦走潰瘍,敷石像,類上皮細胞肉芽腫を認め,クローン病の診断に至っ た.経過中メサラジンによる薬剤アレルギーを発症し臨床症状を修飾した可能性があった.初期 に腸管ベーチェット病と診断された要因として,①初回の内視鏡所見がクローン病に特異的では なかった,②腸管外合併症が存在した,③HLA-B51陽性であった,④初期治療で栄養療法を行っ たが発熱が持続した,が考えられた.これらはクローン病が腸管ベーチェット病と診断される要 因となりえるため注意が必要である.

収録刊行物

  • 小児リウマチ

    小児リウマチ 10 (1), 27-32, 2019

    一般社団法人 日本小児リウマチ学会

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