Webブラウザ上で動作する地理教育用GIS「MANDARA JS」の開発

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  • Development of the ‘MANDARA JS’ GIS for Geography Education Operating on the Web Browser

抄録

<p>1.はじめに</p><p> 2022年から高校地理歴史科において「地理総合」が必履修科目となり、そこではGISの利用が内容に盛り込まれている。2017年に行ったGIS利用に関する調査では、高校でのGIS利用率と23.9%と普及は十分でなかった(谷・斉藤2019)。しかし、地理院地図や今昔マップ等の地図を閲覧する簡便なWebGISの普及や、ここ数年の高校での情報機器の普及状況を考えると、地理総合でのGISの利用はそれほど難しくないと思われる。</p><p></p><p> 閲覧を中心とした簡便なWebGISの利用が中心になると考えられるが、統計データなどを地図化するGISもある程度利用されると考えられる。しかし、そうしたGISであるMANDARA10(谷 2018)などは、デスクトップGISでインストール作業が必要であり、OSによっては導入できない。また既存のWebGISでは、処理速度や通信速度の問題がある。そこで筆者は、Webブラウザ上で動作しつつも、インターネット接続は必要とせず、ブラウザ内部でデータを処理する、「ブラウザGIS」の開発を行った。</p><p></p><p></p><p>2.開発プロセス</p><p> 一般にWebGISでは、データとデータを処理するプログラムをサーバ上に置き、地図の描画をWebブラウザで行っている。一方本研究の「ブラウザGIS」では、データの処理もWebブラウザ上で行い、サーバとの接続は最初の読み込み時に限られる。</p><p></p><p> Google Chrome等のWebブラウザでは、JavaScript言語でユーザ自身のプログラムを動作させることができる。JavaScript言語とHTML5の規格に基づけば、大部分のWebブラウザで共通した動作が可能である。GISでは必須となるグラフィックスについても、HTML5のCANVAS APIを使うことで、デスクトップGISと同様の地図描画が可能となった。</p><p></p><p> 開発の目標として、筆者開発のWindows上で動作するGISソフトMANDARA10の機能のうち、主題図表示機能を実装することとした。MANDARA10は、Microsoft Visual Basic .NETで開発しており、そのコードをJavaScriptに移植していく。しかし、両者にはほとんど互換性がないため、大部分書き換える必要がある。JavaScriptおよびHTMLの開発は、2019年3月からMicrosoft Visual Studio Codeで行い、2020年4月16日に試作版を公開(http://ktgis.net/mdrjs/)、現在は試作版バージョン0.003で、機能の追加を続けている。</p><p></p><p></p><p>3.操作</p><p> 図は操作画面であり、WebブラウザFirefox内で動作しているところである。デスクトップGISのMANDARA10とほぼ同じ画面構成で、同じ要領で操作できる。ただしMANDARA JS単体では、MANDARA10のマップエディタが含まれないなど機能は完全ではない。インストール不要でOSに関わらず使えるGISとして、高校地理教育や大学生のレポート作成などの用途に適している。</p><p></p><p>文 献</p><p>谷 謙二 2018.『フリーGISソフトMANDARA10パーフェクトマスター』古今書院.</p><p></p><p>谷 謙二・斎藤 敦 2019 .アンケート調査からみた全国の高等学校におけるGIS利用の現状と課題−「地理総合」の実施に向けて.地理学評論:92A,1-22.</p><p></p><p></p><p>本研究に際しては科研費17K01225を使用した。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390850475731112832
  • NII論文ID
    130008006687
  • DOI
    10.14866/ajg.2021s.0_31
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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