書誌事項
- タイトル別名
-
- On Statistical Methods in Higher Education Studies:
- コウトウ キョウイク ケンキュウ ト ケイリョウ ブンセキ
- From the perspective of a boundary around the Japan Society of Educational Sociology
この論文をさがす
説明
<p> 本稿の目的は,教育社会学における高等教育を対象とした研究のうち,計量的手法を採っているものにかんする実態を読み解くことにある。その際,「高等教育研究は教育社会学研究がこれまで培ってきた理論・方法的枠組みを共有しているのか」及び「高等教育研究の固有の計量分析の課題とは何か。また他分野を参照しながら今後,どのように課題に対応していくか」との二つの問いを設定した。<br> 学会誌掲載論文や大会研究発表の実態を分析した結果から,手法面においては,『教社研』高等教育計量論文ではより積極的に「一般化線形モデル」が用いられていること,内容面においては,高等教育の「制度・政策」がテーマとして共有されているとの特徴が示された。一方,『教社研』高等教育計量論文の特徴は「進学」にあり,「逸脱」や「学習」「経営・運営」は扱われないことから,これらが『教社研』高等教育計量論文とその他との境界となっていることを示した。他方で,引用の構造から,『教社研』高等教育計量論文は『教社研』高等教育計量論文を引用する傾向がありながらも,社会学の雑誌を引用する傾向もあることが明らかになった。以上より,第一の問いに対しては,「全く共有していないわけではない」と見たほうがより適切であることを述べた。<br> むしろ,今は『教社研』内部の分断よりも,隣接領域や社会の動向を注視すべきであろう。特に政策との距離が近い高等教育研究にとって,EBPM がもたらす専門家の存在意義や方法の高度化とその陥穽など,対応すべき難題は多いため,隣接領域での議論に学ぶ必要がある。その際には,方法論を巡る議論の場=“生態系”が役割を果たすと考えられるため,教育社会学界の経験から豊かな示唆が得られることと思われる。したがって,第二の問いへの答えとして「EBPMを介して分析手法の高度化が要請されているが,それを超えて課題であるのは,因果推論を正確に議論することであり,(教育)社会学だけでなく,心理学,経済学,情報科学等の隣接領域における議論や,これらの専門分野を超えたRubin,Pearl,Campbell の因果モデルの展開を参照しつつ,計量分析における因果関係の取扱い方について常に再考し続けること」を述べた。</p>
収録刊行物
-
- 教育社会学研究
-
教育社会学研究 104 (0), 29-55, 2019-06-30
日本教育社会学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390850490583374464
-
- NII論文ID
- 130008020124
-
- NII書誌ID
- AN0005780X
-
- ISSN
- 21850186
- 03873145
-
- NDL書誌ID
- 029840523
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- NDL
- Crossref
- CiNii Articles
- KAKEN
- OpenAIRE
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可