工学技術による身体機能の拡張

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抄録

<p> 作家のマーク・トウェインは,「健康を保つ唯一の方法は,食べたくないものを食べ,飲みたくないものを飲み,したくないことをすることだ」と語ったという。しかし,食べたいものが食べられず,飲みたいものが飲めず,したいことができないことは,たとえ健康であっても,不健全だろう。実際,平均寿命と健康寿命の間には10年程度の差があることが知られている。もし人の能力を補完・強化・拡張する技術があれば,メガネをかければ視力が保てるように,運動や感覚能力の衰えがどうしようもなく不可逆なものではなく,いつでも調節可能なものにしてくれるかもしれない。また,適切な運動は病気のリスクを減らせることも知られており,高齢者のスポーツ実施率は30,40代に比べて10%以上高く,健康意識の高まりを反映している。問題は病気や怪我で一度身体機能が落ちた人を,いかに元の状態に近づけることができるかである。体力をつけるのにはトレーニングが必要だが,トレーニングは時にきつく,自主的に行うためには相当な覚悟がいる。これが施設内であれば,経験抱負なトレーナーによる指導を得ながらのトレーニングを行うことも可能であろうが,一度施設を出れば,あとは個人の管理に任されることになる。このような現状をふまえると,高機能,重厚だが限られた人や時間しか使えないサポートではなく,個人が一人一台レベルで所持し手軽に使えるサービスが必要とされているのではないだろうか。しかし,手軽にすることは機能の制約にもつながりかねない。我々は,従来の高出力・高機能である代わりに高価なロボットアシスト技術ではなく,比較的低出力・低機能ながらも安価なソフトアクチュエータならびにウェアラブル技術を利用して,人の運動・感覚能力や機能をサポートするソフトアシスト技術の開発をつづけている。本講演では,それらの事例をいくつか紹介する。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 47S1 (0), B-10-B-10, 2020

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390850490585258880
  • NII論文ID
    130008010690
  • DOI
    10.14900/cjpt.47s1.b-10
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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