近代日本の小学校にみる校歌の歌詞の変容と郷土との関わり

書誌事項

タイトル別名
  • Transformation of School Song Texts and Their Connection with the Local Community in Modern Japan
  • キンダイ ニホン ノ ショウガッコウ ニ ミル コウカ ノ カシ ノ ヘンヨウ ト キョウド ト ノ カカワリ

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抄録

<p> 本稿では, 校歌の歌詞内容の変容を明らかにし, そのうえで1930年代に校歌が全国的に普及した背景に何があったのかを検討した。学校が校歌を作成し, 歌うようになったのは1890年代のことである。当初の校歌の歌詞に学校の所在を顕著に示す語句, 例えばその地域の山川や歴史が詠われることはほとんどなく, そうした語句が積極的に校歌の歌詞に出てくるようになるのは, おおよそ, 大正期になってからであった。1930年代になると, 郷土教育運動の展開に伴い, 地理的・歴史的環境を詠んだ校歌は「郷土の歌」として位置づけられるようになる。「郷土の歌」として位置づけられた校歌は, 学校という範囲を越え, 地域社会にまで結びつきを持つ歌として性格づけられるようになった。すなわち, 学校は, 在学児童・生徒だけでなく, その地域全体の人々を校歌の歌い手にすることで, それぞれの地域社会における共同体意識の形成という地域づくりの一端を校歌に担わせたのである。</p>

収録刊行物

  • 音楽教育学

    音楽教育学 49 (2), 13-24, 2020

    日本音楽教育学会

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