九頭竜川水系河川水における懸濁態有機物の炭素同位体組成とその変動要因

  • 長尾 誠也
    金沢大学環日本海域環境研究センター低レベル放射能実験施設
  • 金森 正樹
    金沢大学大学院自然科学研究科
  • 落合 伸也
    金沢大学環日本海域環境研究センター低レベル放射能実験施設

書誌事項

タイトル別名
  • Carbon Isotope Composition and Its Variation of Particulate Organic Matter in River Waters from the Kuzuryu River System
  • クズリュウガワ スイケイ カセンスイ ニ オケル ケンダクタイ ユウキブツ ノ タンソ ドウイ タイソセイ ト ソノ ヘンドウ ヨウイン

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抄録

<p>有機物の炭素同位体組成(δ13C, Δ14C)は,水圏環境における有機物の動態調査に有効なトレーサーである.本研究では,福井県と岐阜県に位置する九頭竜川本流と主要な支流の日野川下流域のそれぞれ1地点で2010年6月から10月の期間に4回,採取した河川水85〜141 Lから連続遠心機を用いて懸濁粒子を分離し,有機物のδ13CとΔ14Cを測定した.その結果,河川水の懸濁態有機物のδ13C値は,九頭竜川で−26.3‰ から−24.0‰,日野川では−27.0‰ から−26.1‰ と異なる範囲を示した.Δ14C値は九頭竜川で−168‰ から−87‰,日野川で−209‰ から−143‰ と九頭竜川のほうが見かけ上,新しい有機物で構成されていることが明らかとなった.また,懸濁態有機物濃度に対するδ13CとΔ14Cは異なる領域にプロットされるが,河川水位とは相関性が認められた.そのため,両河川での炭素同位体組成の違いは,各流域から河川へ供給される有機物の特徴の違いと降雨による流出挙動の違いが反映した結果と考えられる.</p>

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 69 (12), 707-714, 2020-12-05

    公益社団法人 日本分析化学会

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