右房に迷入した下大静脈フィルターが9年後にバルサルバ洞穿孔をきたした1例

DOI
  • 木津 謙也
    独立行政法人国立病院機構別府医療センター 心臓血管外科
  • 竹林 聡
    独立行政法人国立病院機構別府医療センター 心臓血管外科
  • 森田 雅人
    独立行政法人国立病院機構別府医療センター 心臓血管外科
  • 辛島 千尋
    独立行政法人国立病院機構別府医療センター 循環器内科
  • 藤本 書生
    独立行政法人国立病院機構別府医療センター 循環器内科
  • 宮本 伸二
    大分大学医学部附属病院 心臓血管外科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Perforation of Valsalva Sinus by Inferior Vena Cava Filter Migrated to the Right Atrium Nine Years Ago

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抄録

<p> 49歳女性.主訴は労作時息切れ,動悸.40歳時に巨大卵巣腫瘍加療中に下肢深部静脈血栓を認め,下大静脈フィルター留置も右房に迷入した.フィルター抜去不成功も合併症なく経過観察とした.3年間外来受診していたが以降未受診であった.2018年4月より息切れ,動悸を自覚.6月下旬より増悪し当院受診.CTで右房,右室内にフィルター片,心臓超音波検査でバルサルバ無冠尖洞から右房へのジェットと高度三尖弁閉鎖不全症を認め7月中旬に手術を施行した.術中所見で右房内に破損フィルターが高度に癒着し,一部壁外穿通していた.さらに一部先端がバルサルバ洞を貫通していた.三尖弁前尖に大きな欠損孔を認めた.右室内フィルター片は摘出困難であった.体外循環下に右房内残存フィルター摘除+バルサルバ洞穿孔部パッチ閉鎖+三尖弁形成術し,術後13日目に自宅退院した.下大静脈フィルター心内迷入9年後の合併症に対し,外科的治療で良好な経過を得た非常に稀な1例であった.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 52 (4), 423-427, 2020-04-15

    公益財団法人 日本心臓財団

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