糖尿病患者における足部胼胝の要因:カルテ調査による検討

DOI
  • 大江 真琴
    東京大学大学院医学系研究科社会連携講座アドバンストナーシングテクノロジー
  • 濱谷 雅子
    首都大学東京大学院人間健康科学研究科
  • 野口 博史
    東京大学大学院医学系研究科ライフサポート技術開発学(モルテン)寄付講座
  • 大場 美穂
    神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科
  • 竹原 君江
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻看護管理学/ 看護体系・機能学
  • 大橋 優美子
    東京大学医学部附属病院看護部
  • 植木 浩二郎
    国立国際医療研究センター研究所糖尿病研究センター
  • 門脇 孝
    東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科
  • 森 武俊
    東京大学大学院医学系研究科ライフサポート技術開発学(モルテン)寄付講座
  • 真田 弘美
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻老年看護学/ 創傷看護学

書誌事項

タイトル別名
  • Factors associated with foot callus in subjects with diabetic mellitus : a chart review

この論文をさがす

抄録

<p> 【目的】糖尿病患者は、足部に胼胝が発生し、炎症を伴って潰瘍化することが知られている。胼胝の要因は足底圧との関係が考えられるが、炎症を伴う胼胝と足底圧の関係をみた報告はない。本研究の目的は、糖尿病患者における足部胼胝保有の要因および炎症の要因を足底圧に関する因子を中心に明らかにすることである。<br> 【方法】2009年12月から2010年11月の大学病院糖尿病足外来受診者のうち足部胼胝保有者を対象に、胼胝部の炎症(サーモグラフィ上、周囲皮膚にくらべて胼胝部の皮膚温が相対的に上昇)、知覚神経障害、静止時足底圧のデータを診療記録から得た。<br> 【結果】胼胝保有者は52名(38.8%)であり、平均年齢68.4 ± 9.3歳、罹病期間16.9 ± 10.6年であった。胼胝の部位は計149個中、第1趾が最も多く30個、ついで第1中足骨25個であった。前足部静止足底最大圧に関しては、前足部胼胝保有者(2.59 ± 1.25 kg/cm2)が非保有者(1.57 ± 0.90 kg/cm2)と比較して有意に大きかった(p<0.001)。胼胝部に炎症を伴っていた者は5名(3.7%)であり、全員知覚神経障害を合併していた。そのうち前足部静止足底最大圧を測定していた者は3名であり、それぞれ2.12、2.85、4.52 kg/cm2 であった。前足部炎症無の胼胝保有者の前足部静止足底最大圧の平均は2.57± 1.18 kg/cm2 であった。<br> 【考察・結論】糖尿病患者における胼胝保有の要因として前足部静止足底最大圧が関連していること、炎症を伴う胼胝を有する者は全員知覚神経障害を合併していることが明らかとなった。炎症を伴う胼胝を有する糖尿病患者の静止足底最大圧は、炎症を伴わない胼胝を有する糖尿病患者にくらべて大きい傾向にはなかった。この結果は、胼胝が炎症を伴い潰瘍化する過程には、足底圧以外の要因が影響している可能性を示している。</p>

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ