多発性骨髄腫に対する新規エピジェネティック治療

  • 三村 尚也
    千葉大学医学部附属病院 輸血・細胞療法部

書誌事項

タイトル別名
  • Novel epigenetic therapies for multiple myeloma
  • タハツセイ コツズイシュ ニ タイスル シンキ エピジェネティック チリョウ

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抄録

<p>多発性骨髄腫の治癒に向けて我々は,骨髄腫細胞のエピジェネティック修飾異常を標的とした新規治療薬の開発を行ってきた。H3K27me3転移酵素であるEZH2/EZH1共阻害剤の単剤あるいはプロテアソーム阻害剤との相乗的な抗骨髄腫効果を明らかにし,また選択的Akt阻害剤との併用効果のメカニズムを解析した。BMI1ダウンレギュレーターとして開発されたPTC596はプロテアソーム阻害剤と協調的にBMI1蛋白を減少させるが,その本質的な薬理作用は微小管の重合阻害作用であることが分かった。そして我々は,H3K27脱メチル化酵素Utx欠損とBraf V600E活性型変異の両方の体細胞変異を成熟B細胞にのみ誘導したコンパウンドマウスを作製したところ,一定数のマウスで形質細胞腫瘍を発症した。エピジェネティックな骨髄腫発症の機序解明と新たな治療法開発を続けていきたい。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 62 (4), 314-320, 2021

    一般社団法人 日本血液学会

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