浸軟皮膚における組織構造とバリア機能の変化

  • 峰松 健夫
    東京大学大学院医学系研究科老年看護学/創傷看護学分野(元アドバンストスキンケア寄附講座)
  • 山本 裕子
    東京大学大学院医学系研究科老年看護学/創傷看護学分野
  • 長瀬 敬
    東京大学大学院医学系研究科老年看護学/創傷看護学分野
  • 仲上 豪二朗
    東京大学大学院医学系研究科老年看護学/創傷看護学分野
  • 須釜 淳子
    金沢大学医薬保健研究域保健学系臨床実践看護学講座(元アドバンストスキンケア寄附講座)
  • 真田 弘美
    東京大学大学院医学系研究科老年看護学/創傷看護学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Changes in tissue structure and barrier function in macerated skin

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説明

<p> 皮膚浸軟は、失禁関連皮膚炎(IAD)の主要因、あるいは褥瘡のリスクファクターとして広く認識されているものの、浸軟により皮膚の中で何が起きているのか、これまでの知見はきわめて限られている。そこで、私達は浸軟皮膚の構造的、機能的解析を行い、問題の本質の一端を明らかにしてきた。一般的に皮膚浸軟は皮膚表面の角層が白く膨張する現象として捉えられている。実際に角層では角質細胞の軟化や細胞間脂質構造の破綻などが起きているが、加えて表皮深層における細胞間連絡の減少によって皮膚の外力耐性が低下していることが示された。さらに、構造変化に伴ってバリア機能が低下し、高分子までも真皮深層にまで到達し炎症を引き起こしていることが示唆された。こうした現象が、IADや褥瘡に繋がる皮膚浸軟の本質的現象であり、新たに以下のような皮膚浸軟の定義を提案したい。「皮膚浸軟とは、過剰な水分に暴露された皮膚において、角質細胞間脂質や角化細胞間接着などの構造的変化により、皮膚バリア機能および外力耐性が低下した状態である。」</p>

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