アルコール性肝障害を背景とした,肝細胞癌と細胆管細胞癌の重複肝癌の一例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of simultaneous hepatocellular carcinoma and cholangiocellular carcinoma in a patient with alcoholic liver injury
  • アルコールセイ カン ショウガイ オ ハイケイ ト シタ,カン サイボウ ガン ト サイタンカン サイボウガン ノ チョウフク カンガン ノ イチレイ

この論文をさがす

抄録

<p>79歳,男性.高血圧,高脂血症,アルコール性肝障害にて近医通院中の患者であり,この度検診目的に受けた腹部超音波検査にて肝臓に複数の異常陰影を指摘したため当院紹介となった.</p><p>腹部超音波検査ではS8に直径30 mm,S6に直径15 mmの低エコー腫瘤を指摘した.造影CT検査においてS8,S6の両腫瘍が早期濃染を示す一方,S8は門脈相より徐々にwash outの所見を認め,S6は造影効果が平衡相まで遅延する結果となった.ソナゾイド造影超音波検査ではS8は早期濃染,S6はre-injectionにて早期濃染の所見であった.肝細胞癌の可能性を考え当院外科にて肝S8亜区域切除,S6部分切除を行った.病理組織検査ではS8の腫瘍は中分化型の肝細胞癌,S6の腫瘍は細胆管細胞癌と診断された.患者は現在12カ月無再発にて生存中である.細胆管細胞癌,肝細胞癌の合併は稀な病態であり報告する.</p>

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 62 (5), 300-309, 2021-05-01

    一般社団法人 日本肝臓学会

参考文献 (14)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ