O-1-C15 経胃瘻空腸栄養チューブ管理を試みた2例

この論文をさがす

説明

緒言 重症心身障害児者では逆流性食道炎や嚥下性肺炎等の胃食道逆流に伴う合併症が多く、経鼻胃管から胃瘻へ変更することにより、胃食道逆流に伴う合併症の減少が報告されている。一方胃噴門部機能が低下し胃食道逆流を来す症例は、経鼻胃管とともに胃瘻についてもその管理が非常に困難な症例も経験する。今回われわれは経鼻胃管から胃瘻への移行で胃食道逆流が増悪し、経胃瘻的空腸栄養(TGJ)チューブ管理を試みた2例を経験した。 症例1 新生児仮死後遺症(てんかん、知的障害、痙性四肢麻痺)、側彎症、喉頭気管分離術後、食道裂孔ヘルニアの40歳男。腹腔鏡下噴門形成と胃瘻造設術施行後、透視所見から十二指腸水平脚の通過が悪く、胃残の増加がみられた。成分栄養(ED)チューブ挿入後、注入は順調であったがイレウスとなり、改善後も胃瘻からの排液は約600〜1000ml/日で持続し、TGJチューブ(20Fr)を挿入した。しかし十二指腸球部までチューブが巻き上がりとぐろを巻いた状態となったため、挿入後1週間で閉塞状態となりEDチューブを再挿入した。 症例2 核黄疸後遺症(アテトーゼを伴う混合型脳性麻痺、知的障害)、側彎症、喉頭気管分離術後、食道裂孔ヘルニア、胃軸捻、呑気、鼓腸の46歳男。経皮内視鏡的胃瘻増設術後胃食道逆流著明にて、EDチューブを挿入後も筋緊張亢進等が目立ち、胃残・呑気多量で注入量を増量することが困難であった。胃粘膜の防御因子増強薬や抗精神薬追加などの対処を行いつつTGJチューブ(22Fr)の挿入を行ったが、挿入後1カ月少々で閉塞し、EDチューブを再挿入した。 考察 TGJチューブはダブルルーメンカテーテルを用いる場合、胃液排泄を行いつつの経腸栄養投与も可能であるが、細径カテーテルを用いるキットではカテーテルの屈曲や内腔閉塞を来しやすいといわれる。TGJチューブでは現状長期管理不能であり、腸瘻造設も考えられるが、対応可能な施設に苦慮している。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ