O-2-C25 重症心身障害児者施設における骨密度および骨代謝評価の試み

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抄録

背景 骨密度の低下には抗重力運動の減少が大きく寄与していることが知られている。抗重力運動の少ない重症心身障害児者(以下、重症児者)では骨折事例が多く報告されているが、その詳細については不明な部分が多い。 目的 重症児者の骨状態を評価し、骨密度の維持に寄与する要因を探る。 対象・方法 島田療育センター入所者のうち、骨折歴のある者、閉経後の女性、50歳以上の男性のいずれかにあてはまる105例を対象に、dual-energy X-ray absouptiometry(DEXA)法による腰椎および大腿骨頸部の骨密度、PTH、ucOC、骨形成マーカー:血清骨型ALP、骨吸収マーカー:尿中I型コラーゲン架橋N-テロペプチドをクレアチニン補正した値を測定した。対象105例のうち20歳以上の96例について測定項目間の相関およびADL別の傾向について検討した。 結果 寝たきり50例、座位保持22例、立位保持24例であった。長管骨骨折・椎体骨折・大腿骨骨折は合計44機会あった。ADL別の発生機会は寝たきり群31/50、座位保持群9/22、立位保持群4/24で寝たきり群で最も多かった。腰椎および大腿骨頸部の骨密度の平均値は、対象全体でそれぞれ55.4±15.7%、43.8±14.67%で、正常下限(80%)を大きく下回った。ADL別ではそれぞれ寝たきり群で最も低く、立位保持群で最も高かった(p<0.05)。骨代謝はすべての群で吸収優位または高回転であったが、骨代謝マーカー、PTH、ucOCには3群間での有意差を認めなかった。 考察 骨密度は立位保持群でも正常値と比べて非常に低値であり、骨密度の維持にはADL以外の要因も関与している可能性があった。骨代謝は吸収優位または高回転であり、治療的介入としてビスフォスフォネートなどの骨吸収抑制剤が有効である可能性が示唆された。 謝辞 本研究にご協力いただいた島田療育センター整形外科磯田功司先生、同児童精神科野村健介先生、職員の方々に深謝申しあげます。

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