少量試料に適用可能な簡易分析法に基づく深部地下水中の溶存有機物の特性評価

  • 望月 陽人
    日本原子力研究開発機構 幌延深地層研究センター
  • 笹本 広
    日本原子力研究開発機構 幌延深地層研究センター 日本原子力研究開発機構 核燃料サイクル工学研究所
  • 馬場 大哉
    東レテクノ株式会社
  • 生垣 加代子
    東レテクノ株式会社

書誌事項

タイトル別名
  • Characterization of dissolved organic matter in deep groundwater by simple analytical methods applicable for small sample volumes
  • 少量試料に適用可能な簡易分析法に基づく深部地下水中の溶存有機物の特性
  • ショウリョウ シリョウ ニ テキヨウ カノウ ナ カンイ ブンセキホウ ニ モトズク シンブチ カスイチュウ ノ ヨウゾンユウキブツ ノ トクセイ

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抄録

<p> 地下水中の腐植物質の特性評価は一般的に,大量の地下水から分離精製された腐植物質を利用して実施される。しかし,腐植物質の分離精製には多大な時間と労力を要するうえ,地下水量が少ない地域には適用困難である。そこで,少量の試料にも適用可能である簡易特性分析法として,三次元蛍光分析,ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)およびイオンクロマトグラフィー(IC)を北海道幌延地域の地下水と地表水に適用し,腐植物質をはじめとする溶存有機物(DOM)の特性評価を試みた。少量の地下水試料から取得された三次元蛍光スペクトルは,大量の地下水から分離精製した腐植物質のものと類似しており,深度間での差も小さい一方で,地表水とはピーク位置が異なっていた。GPCにより,地下水中のDOMの大部分を分子量1,200~2,000 Da程度の腐植物質が占め,その分子量は深度とともに減少することが示された。これらは,分離精製した腐植物質の特性とも整合していた。また,地下水中のDOMに占める低分子量有機物の割合は小さいことがICにより示され,GPCの結果とも整合していた。以上より,本研究で適用した分析方法は,地下水中のDOMの特性を簡易に評価するのに有効な方法であることが示唆された。</p>

収録刊行物

  • 陸水学雑誌

    陸水学雑誌 81 (2), 153-166, 2020-05-20

    日本陸水学会

参考文献 (32)*注記

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