コヒーシンSTAG2および転写因子RUNX1変異を有する骨髄異形成症候群の分子病態

  • 越智 陽太郎
    京都大学大学院医学研究科 腫瘍生物学講座 京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科

書誌事項

タイトル別名
  • Molecular pathogenesis of myelodysplastic syndromes with concurrent mutations in cohesin STAG2 and transcription factor RUNX1
  • コヒーシン STAG2 オヨビ テンシャ インシ RUNX1 ヘンイ オ ユウスル コツズイイケイセイ ショウコウグン ノ ブンシ ビョウタイ

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抄録

<p>STAG2などのコヒーシン遺伝子変異は骨髄系腫瘍の10~15%程度に認められ,また,RUNX1SRSF2ASXL1などの特定の遺伝子変異と特に共存しやすい。コヒーシンによる造血器腫瘍発症の機序を解明するために,新たにStag2コンディショナルノックアウト(KO)マウスを作成したところ,比較的軽度の造血異常が認められた。一方,Stag2/Runx1両遺伝子KOマウスは顕著な分化異常と汎血球減少を呈し,致死的MDSを発症した。両遺伝子KOでは,単独遺伝子KOと比べ,より広範な遺伝子発現や転写因子活性の異常を呈し,さらに,エンハンサー・プロモーター間の染色体三次元ループ形成が顕著に減弱していた。このように,コヒーシンは転写因子RUNX1と協調して染色体三次元構造や遺伝子発現を制御しているが,変異による機能不全がこうした制御を破綻させ,MDSなどの病型を形成するものと考えられる。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 62 (5), 352-359, 2021

    一般社団法人 日本血液学会

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