MALDI-TOF-MSを活用した高分子材料の劣化深さ方向分析

書誌事項

タイトル別名
  • Depth Analysis of Polymer Degradation by MALDI-TOF-MS
  • MALDI-TOF-MS オ カツヨウ シタ コウブンシ ザイリョウ ノ レッカ フカサ ホウコウ ブンセキ

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説明

<p>高分子材料の劣化は光や熱などの外的な刺激を受けて進行するため,劣化に伴う物性低下の原因解析には表面付近の構造解析が重要である.ポリブチレンテレフタレート(PBT)は,耐熱性の高さと寸法精度のよさから,自動車部品に使われる材料である.MALDI-TOF-MSは,数mg以下の試料により分子構造解析が可能な分析法であり,本稿ではPBTを材料としてMALDI-TOF-MSを用いて加熱劣化における深さ方向解析を試みた.ギヤーオーブンで加熱劣化(180℃)させたダンベル試験片の引張試験により判断された寿命は200〜250時間であった.ミクロトームを用いて加熱劣化させた試料をスライスし,MALDI-TOF-MS分析した結果,表面から深さが155 μmより浅い部分において,200時間を境に熱酸化や加水分解による主鎖切断で生じたCOOH/COOH末端と(CH2)3-COOH/COOH末端の急激な増加が確認された.引張強度の低下は,155 μmより浅い部分における低分子化が影響していることが示唆され,本手法の劣化解析法としての有用性が示された.</p>

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 70 (4.5), 247-253, 2021-04-05

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (12)*注記

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