東北地方における後期新生代の植物相および植生の変遷

書誌事項

タイトル別名
  • Late Cenozoic flora and vegetation changes in northeast Honshu, Japan
  • 東北地方における後期新生代の植物相および植生の変遷--故鈴木敬治,故相馬寛吉両先生の業績をもとにして
  • トウホク チホウ ニ オケル コウキ シンセイダイ ノ ショクブツソウ オヨビ ショクセイ ノ ヘンセン コ スズキ ケイジ コ ソウマ カンキチ リョウ センセイ ノ ギョウセキ オ モト ニ シテ
  • Contribution of Late Professors K. Suzuki and K. Sohma
  • 故鈴木敬治,故相馬寛吉両先生の業績をもとにして

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説明

会津盆地に分布する上部新生界山都層群は中新統の最上部から中部更新統までを含み,下位より藤峠層,和泉層,七折坂層,塔寺層に分けられ,各層はそれぞれ3 帯,2 帯,5 帯,6 帯の植物化石群集帯に分けられる。上部更新統は主に段丘堆積物で,4化石群集帯に分けられる。中新世末の白子,州谷帯はわずかに亜熱帯性要素を伴う温帯性要素で特徴づけられる。漸移期である夏井帯の後,前期鮮新世の小柳津帯は,温帯性要素で特徴づけられる。地磁気極性年代尺度のガウス期と松山期の境を中心にした小柳津帯から袋原帯にかけての時期に,会津盆地からの分類群の消滅や,新たな分類群の出現がみられる。植生の最も大きな変化は,ハラミロ・サブクロンから松山期とブルン期の境界にかけての大沢帯から塔寺IV帯にかけての時期に生じ,第三紀型の分類群や外地生の分類群が次々と消滅し,代りに日本列島固有種や亜寒帯性の分類群が出現している。Metasequoia は,鮮新世末のオルドヴァイ・サブクロンの時期以後,大型遺体は産出しなくなり,花粉化石のみの産出となるが,やはり松山期の終りに消滅する。ハラミロ・サブクロンの後,気候の温暖化と寒冷化の周期的な変動がよりはっきりする中で,植生も温帯性落葉広葉樹林と亜寒帯性針葉樹林とがくり返しながら,現植生に近づいていった。

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