HIV・エイズ予防啓発活動における疫学者とゲイNGO の協働体制の展開

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書誌事項

タイトル別名
  • Collaboration Between Epidemiologists and Gay NGOs for HIV/AIDS Prevention in Japan
  • HIV ・ エイズ ヨボウ ケイハツ カツドウ ニ オケル エキガクシャ ト ゲイ NGO ノ キョウドウタイセイ ノ テンカイ

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説明

<p>本稿は,日本におけるゲイ男性やMSM を対象とするエイズ対策の展開を整理し,彼らに対するエイズ予防がいかなるものとして展開されてきたのかを明らかにする.とりわけ,疫学者を中心とする研究者とゲイ当事者を中心に組織されたゲイNGO との協働による予防体制に注目し,その展開について福岡における活動の事例をふまえ明らかにする.</p><p>疫学者らによるエイズ予防は,当初,接近困難なハイリスク層に近づく手段としてゲイ男性らの当事者性を必要とし,その必要に応えるかたちでゲイNGO との協働体制が成立し,展開していった(消極的協働).しかし,協働体制のもとでのゲイNGO の活動は,疫学者によって期待されるものとは異なった当事者性の獲得の過程をともない,そこでは,疫学者とゲイNGO との双方の思惑が交錯しながら,活動が展開されていた(積極的協働).</p><p> 福岡において組織されたゲイNGO「LAF」は,協働体制による活動のもとで当事者性を獲得することによって,疫学者が推進しようとするエイズ対策との間に対立を経験し,協働体制から独立し活動を行うこととなった.このことは,疫学者によるエイズ対策が必要とした当事者性の意図せざる結果として,協働体制から独立して活動を行うゲイNGO が誕生したことを意味する.</p>

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