当科外来における上顎前歯部過剰歯抜去についての後方視的検討

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タイトル別名
  • A Retrospective Study on Extraction of Supernumerary Teeth in the Maxillary Anterior Region Performed in a Pediatric Dentistry Clinic

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説明

<p>上顎前歯部過剰歯の抜去にあたっては,術式の検討に加えて小児の協力度の事前評価が不可欠である。今回著者らは平成22年1月から平成30年12月までの9年間に本学付属歯科病院小児歯科外来を受診し,上顎前歯部に過剰歯を有していた小児を対象として,術中管理法の選択に関連する項目について調査した。</p><p>その結果,下記の知見を得た。</p><p>1.男女比は約2.5:1であった。</p><p>2.1人当たりの過剰歯数は萌出歯,埋伏歯共に1歯が最も多く,萌出歯の抜去は6歳時,埋伏歯の抜去は6~8歳時に行われることが多かった。</p><p>3.術中管理法は通常下が最も多かったが,埋伏過剰歯に限定すると全身麻酔下が49%と最も多く,通常下,静脈内鎮静法下の順であった。</p><p>4.Franklの分類による小児の協力度と術中管理法との関連性について,埋伏過剰歯の抜去を行った381名を対象として検討した結果,二項ロジスティック回帰分析にて有意な(p<0.001)関連が認められ,協力度が良好な小児の多くは通常下で抜歯術を施行されていた。</p><p>5.183名を対象に埋伏過剰歯の深度と術中管理法の関係を調べた結果,両者に有意な関連は認められなかった。</p><p>以上より,小児の協力度および埋伏過剰歯の深度については術中管理法を決定するうえで共に検討が不可欠と考えられるが,当科においては協力度が主要な判断基準になっていることが示された。</p>

収録刊行物

  • 小児歯科学雑誌

    小児歯科学雑誌 58 (2), 55-61, 2020-06-25

    一般財団法人 日本小児歯科学会

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