サブスタンスPは,樹状細胞のリンパ節移行と2型炎症を惹起する

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抄録

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどのアレルギー炎症は,2型免疫応答を本態とする.アレルゲンが皮膚で感作されると,皮膚に局在する樹状細胞が活性化し,所属リンパ節に移行する.その結果,アレルゲンの情報がヘルパーT細胞(Th2)に提示され,2型免疫応答が惹起される.しかし,アレルゲンにより活性化された樹状細胞は,in vitroでTh2細胞の分化を誘導できないことやマウスに移入しただけでは,in vivoで2型の免疫応答が惹起されないことが報告されている.つまり,アレルゲンの感知から2型の免疫応答の惹起までの間には,樹状細胞以外にも必要な因子が存在する.2型の免疫応答の惹起に必要な因子として,上皮由来サイトカインが知られ,それらは2型免疫応答を誘導できる樹状細胞に分化させる.しかし,これらのサイトカインを欠損させても,2型炎症は部分的にしか抑制されず,アレルギー疾患において,2型炎症が惹起されるメカニズムは,十分に理解されていない.本稿では,Pernerらによって報告された,アレルギー炎症の本態となる2型炎症が惹起される際に,アレルゲンを感知して樹状細胞を所属リンパ節に移行させる細胞を見いだし,その機序を解明した論文を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Kumamoto Y. et al., Immunity, 43, 733-743(2013).<br>2) Besnard A. G. et al., Eur. J. Immunol, 41, 1675-1686(2011).<br>3) Halim T. Y. et al., Immunity, 40, 425-435(2014).<br>4) Perner C. et al., Immunity, 53, 1063-1077(2020).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 57 (7), 670-670, 2021

    公益社団法人 日本薬学会

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