耳科手術解剖の基礎知識―側頭骨病理組織標本―

  • 假谷 伸
    岡山大学医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • 耳科手術解剖の基礎知識 : 側頭骨病理組織標本 : 第121回日本耳鼻咽喉科学会総会手術手技セミナー
  • ジカ シュジュツ カイボウ ノ キソ チシキ : ソクトウコツ ビョウリ ソシキ ヒョウホン : ダイ121カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ シュジュツ シュギ セミナー

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抄録

<p> 手術を行うためには解剖の理解が非常に重要である. 解剖には正常解剖と疾患の病態を反映した病的解剖がある. 実際に手術を行う場合には, 個々の症例の解剖構造を術前に画像検査等で確認するが, 現在の優れた画像検査機器を使用しても, 耳科手術に必要な微細なレベルでの画像描出は困難である場合がある. また, 手術を安全に, かつ, 確実に行うためには, 通常の手術操作では術野に出てこない深部にどのような疾患特有の変化があるのかということをイメージしながら手術を行う必要がある.</p><p> それぞれの疾患による病的解剖を理解する上で, ヒト側頭骨病理組織標本は非常に有用である. 実際に標本を手にとって, 自ら顕微鏡で見てみることが最も望ましい. しかし, ヒト側頭骨病理組織標本の作成と保管には多くの困難を伴うことから, 本邦において, ヒト側頭骨病理組織標本を保有する施設は限られている. このため, 自らが所属する施設にはヒト側頭骨病理組織標本がないという場合が大部分と思われる. 部外者によるヒト側頭骨病理組織標本閲覧を許可している施設もあることから, 近隣の保有施設に連絡を取ってみることが推奨される. 次善の策としては, 鍵になる標本画像を書物やインターネットなどで参照する方法がある. 日本耳科学会のホームページでは, いろいろな疾患のヒト側頭骨病理組織標本画像を公開しており, 日本耳科学会の会員であれば, 自由にダウンロードすることが可能となっている.</p><p> 本稿では, 耳科手術を行う際に知っておいた方が良い組織学的な所見について, 比較的頻度の高い疾患のものを中心に概説する.</p>

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