中核層の時代に向けて
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21世紀の今日新たな日本の長期的指針を模索するためには、次の3つが必要である。第一は、未曾有のグローバル化によって揺さぶられる現代日本社会にとって何が自らの拠って立つ規範の根源か、その歴史と文化を振り返りながら問い直すことである。「日本とはいかなる社会なのか」、「何を大切にする社会なのか」を明らかにすることは、緊急の課題である。第二は、成熟社会を迎えてますます注目が集まっている、「人と人とのつながり」と「地域に根ざした暮らし」である。現代日本社会においては少子化や高齢化が進み、孤独化や社会的排除の問題も深刻になっている。この問題がとくに如実に現れると同時に、それを解決する鍵ともなりうるのが「ローカルな」場である。政治や行政における集中と分散の新たな組み合わせと、それに見合った経済構造の実現が重要である。第三は、それを可能にする政治のあり方である。1990年代以降の選挙制度改革はたしかに政権交代をもたらしたが、達成の実感には乏しい。今あらためて見直さないといけないのは、制度の基盤となる社会組織、さらにはそれを担う人間像である。民主主義をめぐる考察を制度→組織→人間へと深化させていかねばならない。以上の課題を、今こそ真剣に考えたい。
Journal
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- NIRA OPINION PAPER
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NIRA OPINION PAPER 12 (0), 1-28, 2014
Nippon Institute for Research Advancement
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390851641622543488
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- NII Article ID
- 130008064511
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- ISSN
- 24362212
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- Text Lang
- ja
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- Article Type
- journal article
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
- KAKEN
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- Abstract License Flag
- Allowed