豪雨・土砂災害が住民の災害リスク認識に与える影響—広島市周辺の地価に着目して—

書誌事項

タイトル別名
  • Impact of Heavy Rain and Sediment Disaster on Disaster Risk Perception—Focusing on the Land Price Around Hiroshima City—

説明

<p>近年,気候変動に伴って日本各地で土砂災害や豪雨災害が頻発している。災害の被害を抑えるためには,ハード・ソフト両面の防災政策のほか,住民がその土地の災害リスクを認識することが不可欠である。また,災害は繰り返し発生することから,過去の被災経験をもとに防災意識を高めていくことも大切である。そこで,本研究では直近6年間で2014年の平成26年8月豪雨と2018年の平成30年7月豪雨の2度にわたる土砂災害を経験した広島市に注目した。広島は山間部の表層地質が花崗岩で構成され,市街地の地形が三角州となっていることから,土砂災害・洪水が繰り返し発生しやすい。そのため,住民が各種災害に対して高い意識を持っておく必要がある。そこで,直近2度の土砂災害の被災前に災害リスク認識は形成されていたか,2度の土砂災害の前後で災害リスク認識に変化がみられるか,広島市の国土交通省地価公示とハザードマップのデータからヘドニック・アプローチと差の差分析を用いて実証分析を行った。その結果,災害前には土石流・洪水のリスク認識は形成されておらず,津波のリスク認識が形成されていたことが明らかになった。また,災害後には,災害前と比較して土石流危険地域で地価が有意に下落し,津波危険区域では地価が有意に上昇したことが明らかになった。すなわち,2度の大規模土砂災害の後,新たに土石流のリスク認識が形成され,津波のリスク認識が薄まったことが明らかになった。</p>

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 34 (4), 196-207, 2021-07-31

    社団法人 環境科学会

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390851862122807424
  • NII論文ID
    130008069716
  • DOI
    10.11353/sesj.34.196
  • ISSN
    18845029
    09150048
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    journal article
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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