日本におけるリハビリテーション医学・医療の現況―耳鼻咽喉科領域での意義を含めて―

  • 久保 俊一
    日本リハビリテーション医学会理事長 日本リハビリテーション医学教育推進機構理事長 京都府立医科大学特任教授 京都中央看護保健大学校学校長

書誌事項

タイトル別名
  • 第121回日本耳鼻咽喉科学会総会シンポジウム 日本におけるリハビリテーション医学・医療の現況 : 耳鼻咽喉科領域での意義を含めて
  • ダイ121カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ シンポジウム ニホン ニ オケル リハビリテーション イガク ・ イリョウ ノ ゲンキョウ : ジビ インコウカ リョウイキ デ ノ イギ オ フクメテ

この論文をさがす

説明

<p> リハビリテーションという言葉が医学的に使用され始めたのは, 約100年前の第一次世界大戦のころである. 多くの戦傷者の社会復帰が大きな課題となり, 米国の陸軍病院に physical reconstruction and rehabilitation という division が設けられたのが最初の事例であるとされている. そして, 1949年, 米国において専門領域として American board of physical medicine and rehabilitation が確立され, 重要な診療科となった.</p><p> 日本にリハビリテーションという概念が導入されたのは1950年代で, 1963年に日本リハビリテーション医学会が設立された. 日本では physical medicine と rehabilitation medicine の両者を合わせてリハビリテーション医学として総括された. 2017年から日本リハビリテーション医学会では, リハビリテーション医学について新しい定義をあげている. ヒトの営みの基本である「活動」に着目し,「人々の活動を育む医学」がリハビリテーション医学であるとしている. リハビリテーション医学という科学的裏付けのもとにリハビリテーション医療がある. リハビリテーション診療はリハビリテーション医療の中核であり, 診断・治療・支援の3つのポイントがある.</p><p> 活動の予後を予測するのがリハビリテーション診断である. そして, その活動を最良にするのがリハビリテーション治療である. さらに, 環境調整や社会資源の利用などの支援を行っていくのがリハビリテーション支援である. リハビリテーション医療では, 医師, 理学療法士, 作業療法士, 言語聴覚士, 義肢装具士, 歯科医, 看護師, 薬剤師, 管理栄養士, 公認心理師/臨床心理士, 社会福祉士/医療ソーシャルワーカー, 介護支援専門員/ケアマネジャー, 介護福祉士などがチームを形成しているのが特徴である.</p><p> 耳鼻咽喉科領域のリハビリテーション診療についても, リハビリテーション医学の新しい定義である「活動を育む」という視点で整理することが望まれる.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ