子宮頸部円錐切除術既往のある妊娠17週の妊婦に対して経腹的子宮頸管縫縮術を施行し生児を獲得した1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of transabdominal cervical cerclage at 17 weeks of gestation in a patient with a history of cervical conization
  • シキュウ ケイブ エンスイ セツジョジュツ キオウ ノ アル ニンシン 17シュウ ノ ニンプ ニ タイシテ ケイ フクテキ シキュウケイカン ヌイチジミジュツ オ シコウ シ セイジ オ カクトク シタ 1レイ

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抄録

<p>経腹的子宮頸管縫縮術(transabdominal cervical cerclage;TAC)は,経腟的子宮頸管縫縮(transvaginal cervical cerclage;TVC)が困難な症例に考慮され,過去の報告では妊娠9週から12週に施行されることが多い.今回われわれは,妊娠17週の妊婦にTACを施行した症例を経験したので報告する.症例は40歳,3妊0産,自然妊娠であった.24歳でCIN3のため子宮頸部円錐切除術を受けた既往があり,術後に妊娠6週,11週の自然流産があった.妊娠12週で子宮頸管長は26 mmと短縮傾向であったが,妊娠15週6日で子宮頸管長は14 mmとさらに短縮を認めたため,切迫流産の診断で同日入院とした.子宮頸部はほぼ消失しておりTVCは困難と考えられ,併発する子宮頸管炎の治療後,妊娠17週2日にTACを施行した.妊娠子宮の増大に伴い術野の確保に臍横までの切開を要したが,術中経腟超音波を併用することでより安全に手術を施行できた.術後経過は良好であり,妊娠19週に一時退院とした.妊娠29週6日の妊婦健診で子宮頸管長15 mmと短縮傾向を認めたため,切迫早産の診断で再度入院とした.入院後は子宮収縮の増強,破水等もなく順調に経過し,妊娠37週5日に予定帝王切開にて生児を得た.妊娠第2三半期でTACを行った報告は国内で初めてである.子宮のサイズが大きく手技的に困難と思われたが,経腟超音波を併用することで安全に施行することができた.侵襲度の高さおよび難易度からTACの適応は慎重にならざるを得ないが,症例ごとに慎重に適応を判断したうえで今後もTACを取り入れ,少しでも良好な周産期予後を得られるよう努力していきたい.〔産婦の進歩73(3):230-237,2021(令和3年8月)〕</p>

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