悪性胸膜中皮腫細胞株に対するメシル酸ナファモスタット (FUT-175) の細胞増殖及び細胞浸潤抑制効果の検討

  • 須藤 武道
    弘前大学大学院医学研究科 胸部心臓血管外科学講座
  • 福田 幾夫
    弘前大学大学院医学研究科 胸部心臓血管外科学講座
  • 木村 大輔
    弘前大学大学院医学研究科 胸部心臓血管外科学講座
  • 対馬 敬夫
    弘前大学大学院医学研究科 胸部心臓血管外科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Nafamostat mesilate (FUT-175) inhibits cell growth and invasion of malignant pleural mesothelioma cell line, MSTO-211H

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抄録

 セリンプロテアーゼ阻害剤であるメシル酸ナファモスタット (FUT-175) は,臨床的には急性膵炎や播種性血管内凝固症候群に対する治療薬として用いられているが,悪性腫瘍に対する抗腫瘍活性に関しても報告がなされている.本研究では,ヒト悪性胸膜中皮腫細胞株における,FUT-175 の抗腫瘍活性に関して検討した.その結果,細胞増殖能は対照群に対し FUT-175濃度 10⁻⁵M で47.0 ± 2.1%と有意に減少した (p<0.05).また細胞浸潤能も FUT-175濃度 10⁻⁵M で有意に減少した (p<0.05).さらに,ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子 (u-PA) 蛋白とプラスミノーゲン活性化因子インヒビター1 (PAI-1) 蛋白の分泌も同様に抑制された.これらの結果から,FUT-175 が u-PA 及び PAI-1蛋白の分泌抑制を介し,ヒト悪性胸膜中皮腫細胞の細胞増殖能及び細胞浸潤能を抑制することが示唆された.

収録刊行物

  • 弘前医学

    弘前医学 61 (1), 19-25, 2010

    弘前大学大学院医学研究科・弘前医学会

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