『大哀経』または『陀羅尼自在王経』のサンスクリット写本の予備的報告

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タイトル別名
  • A Preliminary Report on a Sanskrit Manuscript of the <i>Tathāgatamahākaruṇānirdeśa </i>or <i>Dhāraṇīśvararāja</i>
  • A Preliminary Report on a Sanskrit Manuscript of the Tathagatamahakarunanirdesa or Dharanisvararaja

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抄録

<p>『大哀経』(Tathāgatamahākaruṇānirdeśa)は重要な初期大乗仏典であり,『陀羅尼自在王経』(Dhāraṇīśvararāja)としても知られている.その仏典のチベット訳が現存し,また竺法護と曇無讖による漢訳がある(『大哀経』T 398,『大集経』の第1–2品T 397).従来,『究竟一乗宝性論』(Ratnagotravibhāga Mahāyānottaratantra)と『入中論注』(Madhyamakāvatārabhāṣya)において引用文が回収されたが,それ以外にはこの経のサンスクリット文は発見されていない.本稿で報告する写本は,北京の中国民族図書館に保管されている貝葉写本の束の第59番である.大量のサンスクリット写本が元々チベットで伝承されていたが,それが北京に移送されたのち1993年にチベットに返還される際に,中国民族図書館にそのうちの三部の写本が寄託された.本稿で報告する写本は,中国民族図書館に寄託されたその写本のうちの一つである.</p><p>同写本は12葉(Folio. Nos. 1–23;ただし,3, 4, 11及び13−20が失われている)が現存し,経の冒頭部分を含んでいる.書体はプロトナーガリー(Proto-Nāgarī)である.古文書学の特徴から判断すれば,この写本は8–9世紀前後に書写されたものであると推定される.さらに,本稿では,第1–2葉のローマ字転写テキストも提示している.</p>

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参考文献 (1)*注記

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