だしの摂取が味覚認知閾値に及ぼす影響

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  • Effect of Habitual intake of Dashi on cognitive taste threshold

抄録

<p>【目的】近年味覚に関する調査研究において、若い世代は濃い味わいを好む傾向が報告されている。味覚の感受性は、日常的な食事が少なからず影響していると推察されるが、個々の食品、特にその継続的な摂取がどのような影響を及ぼすかについては、十分な検討がなされていない。本研究では、和食の味わいの基盤となる出汁に着目し、その継続的摂取が大学生の味覚に及ぼす効果を明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】龍谷大学の学生男女22名を対象とし、出汁を飲む群・出汁を飲まない群に分けて実施した。実験期間は3週間とし、週に1回味覚閾値検査を実施した。1週目は両群とも出汁を飲まず、2週目からは出汁を飲む群に鮪節と昆布の合わせ出汁パックを渡し、一日あたり135mL、2週間継続飲用してもらった。味覚閾値検査用の試料は甘味(スクロース)、塩味(塩化ナトリウム)、酸味(酒石酸)、苦味(塩酸キニーネ)、うま味(グルタミン酸ナトリウム)を10段階で濃度調整した。各試料を低濃度から飲んでもらい、味を感じた時点で回答してもらった。被験者の回答が正解の場合、その濃度を認知閾値と判断した。</p><p>【結果】甘味以外の4味は、出汁摂取に関わらず全体的に味覚閾値が低下する傾向を示した。うま味では出汁を飲まない群の認知閾値が2週目・3週目で有意に低下した。苦味は両群が3週目に有意な低下を示した。塩味・酸味は個人差が大きく、有意な差は検出されなかった。</p><p>【考察】 出汁の摂取に関わらず、全体的に味覚閾値が低下したのは味覚検査による学習効果が大きいと推察される。特にうま味については単独で味わう機会が少なく、認識されていくい味であることから、味覚検査での経験の蓄積が少なからず影響したのではないかと考えられる。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390852252714205440
  • NII論文ID
    130008085686
  • DOI
    10.11402/ajscs.32.0_28
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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