MLL転座白血病発症機序と分子標的療法

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タイトル別名
  • The mechanism of MLL-rearranged leukemogenesis and its targeted therapies
  • MLLテンザハッケツビョウ ハッショウ キジョ ト ブンシ ヒョウテキ リョウホウ

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抄録

<p>白血病は造血細胞の無制限な増殖によって引き起こされる。染色体転座によって生み出されるMLL fusionは特定のがん化経路を活性化するのではなく,「これまでに発現していた広範な遺伝子群」の転写を活性化することで,細胞分裂後に分裂以前と同じ遺伝子発現状態を確立し,自己の複製を促進する。この遺伝子発現状態の複製は,通常は造血幹細胞においてのみ,MLLやAF4/ENL/P-TEFb(AEP)複合体を介した転写活性化システムによってなされるが,造血幹細胞以外の造血細胞ではこのシステムが十分には働かない。しかし,遺伝子変異の結果MLL/AEP依存的な転写活性化システムが恒常的に活性化することで,造血細胞が異常に自己複製するようになり,白血病を引き起こす。本稿では,白血病の発症機序を転写マシナリーによる自己複製の活性化という視点で解説するとともに,この転写システムに対する分子標的療法の可能性について言及する。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 62 (8), 988-997, 2021

    一般社団法人 日本血液学会

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