落葉状天疱瘡に水疱性類天疱瘡を合併した 1 例

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タイトル別名
  • A Case of Pemphigus Foliaceus Coexisted with Bullous Pemphigoid

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抄録

<p>69歳,女性。初診の約 6 ヶ月前から体幹上肢に瘙痒を伴う水疱と紅斑が出現。皮膚生検で表皮顆粒層に棘融解細胞を伴う水疱を認め,蛍光抗体直接法で表皮細胞間に IgG が陽性,抗デスモグレイン(Dsg1 抗体が陽性であった。落葉状天疱瘡と診断しテトラサイクリン,ニコチン酸アミド,ジアフェニルスルホン(DDS)の内服とステロイドの外用を開始後,皮疹は消退し再燃を認めず経過していたが,約 7 年後に抗 Dsg1 抗体価の再上昇と皮疹の一時的な再燃がみられた。その約 4 ヶ月後に両下肢に瘙痒を伴う緊満性水疱が多発した。皮膚生検で表皮下に好酸球浸潤を伴う水疱を認め,蛍光抗体直接法で基底膜部と表皮細胞間に IgGC3 が陽性,抗 BP180 抗体が陽性だった。落葉状天疱瘡に水疱性類天疱瘡が合併したと診断し,プレドニゾロン内服にて治療中である。発症機序として落葉状天疱瘡の再燃が水疱性類天疱瘡の発症に関与した可能性が考えられた。自己免疫性水疱症の経過中に当初の診断と異なる皮疹を呈した場合は,新たな水疱症の合併の可能性も考慮する必要がある。 (皮膚の科学,20 : 97-103, 2021)</p>

収録刊行物

  • 皮膚の科学

    皮膚の科学 20 (2), 97-103, 2021

    日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会

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