ライブイメージングによるブレブ動態の分子メカニズム解析

  • 青木 佳南
    九州大学理学研究院生物科学部門代謝生理学研究室
  • 池ノ内 順一
    九州大学理学研究院生物科学部門代謝生理学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Live-cell Imaging and Analysis Reveal the Molecular Mechanism of Membrane Blebbing
  • ライブイメージング ニ ヨル ブレブ ドウタイ ノ ブンシ メカニズム カイセキ

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抄録

<p>ブレブは,アクチン細胞骨格の裏打ちが一時的に消失し,細胞内圧によって突出した形質膜の球状突起構造である.近年,脊椎動物の始原生殖細胞やがん細胞が,能動的にブレブを形成して運動することが明らかになった.しかしブレブの形成を制御する分子機構は殆ど明らかになっていない.我々は,がん細胞のブレブをライブイメージング観察することで,Rnd3とRhoAの活性の切り替えがブレブの形成と退縮のサイクルを制御することを明らかにした.さらに,拡大中のブレブの細胞質は,他の細胞質領域と比較して有意に細胞質の流動性が上昇し,特定のタンパク質が濃縮することを見出した.このような拡大時に形成される流動性の高い細胞質領域の形成には,拡大中のブレブの細胞質に限局したカルシウムイオン濃度の上昇が必要であることを明らかにした.本稿では,ブレブの形質膜のダイナミックな形態変化を可能にする細胞質流動性の制御機構について筆者らの知見を紹介する.</p>

収録刊行物

  • 顕微鏡

    顕微鏡 56 (2), 68-72, 2021-08-30

    公益社団法人 日本顕微鏡学会

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