尿素サイクル異常症に対するヒトES細胞由来肝細胞移植

DOI
  • 福田 晃也
    国立成育医療研究センター
  • 栁 佑典
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 清水 誠一
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 内田 孟
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 阪本 靖介
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 中村 和昭
    国立成育医療研究センター研究所 薬剤治療研究部
  • 梅澤 明弘
    国立成育医療研究センター研究所 再生医療センター
  • 堀川 玲子
    国立成育医療研究センター 内分泌・代謝科
  • 笠原 群生
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター

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抄録

<p>【はじめに】肝細胞移植は,新生児期に発症する尿素サイクル異常症に対する治療として期待されているが,安定した品質の肝細胞の供給が課題であった.今回,新たなセルソースとしてヒトES細胞由来の肝細胞(HAES:再生医療等製品)を用いた肝細胞移植(医師主導治験)を行ったので報告する.【臨床経過】日齢2 多呼吸・筋緊張亢進・痙攣などの症状が出現し,著明な高アンモニア血症(2,026 µg/dl)を認めたため,持続的血液ろ過透析,薬物療法などの集中治療を開始.遺伝子検査にてアルギニノコハク酸合成酵素欠損症(シトルリン血症Ⅰ型)の確定診断を得た.日齢6 臍帯静脈より門脈左枝に留置したカテーテルよりHAES(5.0×107個/kg)懸濁液を2回(2日間)に分割して,門脈圧・門脈血流などをモニタリングしながら緩徐に注入した.肝細胞移植の手技による合併症・有害事象なく投与を完了した.肝細胞移植後,蛋白摂取量は1.92 g/kg/dayまで増量し,75回測定した平均アンモニア値は54.1±36.1 µg/dl(mean±SD)であった.胃腸炎にて下痢を呈したが,透析を要する高アンモニア血症なく経過した.生後5か月(7.6 kg)で,生体肝移植を施行した.移植後4か月経過した現在,外来通院中である.【考案】世界で初めてヒトES細胞を用い,肝臓移植までの橋渡しの治療"としての肝細胞移植を安全に施行しえた."</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 55 (Supplement), 226_2-226_2, 2020

    一般社団法人 日本移植学会

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