生体腎移植及び献腎移植における周術期体組成変化の検討

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抄録

<p>【目的】腎移植患者は背景にある慢性腎臓病のため術前より体水分量が多く、周術期の体液バランスは大きく変動する。本研究では生体腎移植及び献腎移植患者の周術期における体組成の変化を検討した。【方法】2006年10月から2016年5月までに当院で腎移植を施行した患者のうち、周術期に体組成を測定し得た115名(生体腎移植104名、献腎移植11名(心停止下10名、脳死下1名))を対象とした。生体電気インピーダンス分析法を用いてBody Mass Index (BMI)、体脂肪率、蛋白量、ミネラル量、筋肉量、総体液量、細胞外液量、細胞内液量、細胞外液量/総体液量比(ECW/TBW)を測定し、腎移植後1週、2週、3週、4週の経時的変化をモニタリングした。【結果】生体腎移植と献腎移植との間で、腎移植1週後から4週後のBMI、体脂肪率、蛋白量、筋肉量に有意な差は認めなかった。また、ECW/TBWは1週後、2週後では有意な差は認めなかったが、3週後から有意に献腎移植で高かった。腎移植4週後の腎機能は有意に生体腎移植で良好であった。【考察】ECW/TBWは体液量の指標として広く用いられている。献腎移植で有意にECW/TBWが高いという結果であったのは、献腎移植で腎機能の回復が遅いことや、手術に合わせた体液量の調整が困難であることを反映していると示唆される。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 55 (Supplement), 356_3-356_3, 2020

    一般社団法人 日本移植学会

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